(クヌギ)の森プロジェクト
Project of Kunugi no Mori

<「(クヌギ)の森」コンセプト>

 諸塚村は、林業立村をスローガンに、山を守り、森林を創り、自然と共生しつつ、森の恵みを受けながらむらづくりを勧めてきました。ここは「自分のことだけでなくお互いのことを、現在のことだけでなく子や孫の代のこと」を考えながら「森に生きる村」です。

 森林には、人の心を癒す景観や身近に触れあう場が存在します。「(クヌギ)の森プロジェクト」は、この審美的機能(人の心を癒す景観や身近にふれあう場の存在)の側面から、森林を見直そうという試みです。自然・伝統文化など、森林文化=日本の歴史的原風景を遺した諸塚村地域全体を再評価し、都市と山村が共生する豊かな『(クヌギ)の森』づくりをすすめます。

(クヌギ)の森とは>
 諸塚村は、森を豊かにし、水を守り、森の恵み(=シイタケなどのキノコ)を生む木として、クヌギと共に暮らしを育んできました。そのクヌギを讃え、感謝する森をつくりたいというのが始まりです。
森とは樹とは何か?
 ペルーに住むインディオのお医者さんには、昔からの言い伝えがあります。
「気の悪い人を治療して自分も影響を受けた時、(アマゾンに)いのちの樹があって、それに会いに行きその樹に抱きつく、そしてしばらくすると気が交流して、調っていくのだ。」
 また、樹医さんから、こんな言い伝えを聞きました。
「人間と樹というものは何千何万年も前からお互いに助け、助けられてきた。病は、昔からあったものであって、今はじめて病ができたものではない。それを自然と治してくれたのが樹だった。」

 人にとって、樹は、苦抜樹(クヌギ=苦を抜く樹)だったのがわかります。木は林をつくり森となり、森は苦抜きの場所です。この諸塚の森から、苦抜樹の気付きを発信し、多くの人を癒し元気にします。森に親しみ、木(樹)と戯れ、木(樹)を楽しみ、木(樹)に癒されます。これを、楽しむ木=(クヌギ)と呼びます。

 樹は苦抜樹(クヌギ)、森は苦抜き(癒し)の場所
  これが『(クヌギ)の森』のコンセプトです。

 そして、心を癒す景観や身近にふれあう場の存在する『(クヌギ)の森』から、諸塚村の自治公民館と連携して、今まで培ってきた諸塚村の地域資源をベースにした「元気・自然のあるむらづくり」を行おうというのが、「(クヌギ)の森プロジェクト」です。

<「(クヌギ)の森プロジェクト」=地元学の手法>

 全村森林公園・諸塚において『(クヌギ)の森』は、村全体です。「(クヌギ)の森プロジェクト」で一番大切なのは、森を知ること、村を知ること、地域を知ることです。

 幸いなことに、諸塚村には全国でも例のない自治公民館組織というコミュニティーが構成されています。プロジェクトでは、この自治公民館組織と連携協力して、「地元学」の手法を用いた地域資源の探索ツアー「地元再発見ツアー」を全村的に展開しています。これを起爆剤に、地元の交流意識を定着させて、さらにグリーンツーリズムへと発展することを期待しています。特に、地域づくりの基本は、行政主導から脱却して地元が主体となるべきと考え、各自治公民館ごとに、責任部隊(年輩者)と実働部隊(若手)を育成することもねらっています。

 「(クヌギ)の森」の実践事業として、池の窪グリーンパークを代表的森林公園と位置付け、平成14年に天空の森としてリニューアルしました。

 さらに平成15年には、「しいたけの館21」対岸のホタル橋エコパークに待望のくぬぎ地蔵」が建立されました。

 将来的には、全村森林公園・諸塚をエコミュージアムとして捉えると、「しいたけの館21」がコア、整備充実した池の窪グリーンパークや、櫟(クヌギ)の森プロジェクトを通して発掘・再発見された各公民館の文化遺産、産業遺産がサテライトになります。それらを諸塚山スカイラインなど充実した日本一の道路網と自治公民館組織で有機的に結合することが可能になるのです。

 地元再発見ツアーの成果は、「しいたけの館21」の(クヌギ)の森コーナーに展示してあります。