諸塚の源流探検

柳原川Yanabarugawa 

源流へこんにちは(柳原川)

 おおよそ自然を形つくっているものを大別すれば、山と川でしょう。
「動かざること山の如し」
 黙として座す山が「静」ならば、とどまることのない川はさしずめ「動」というべきでしょう。あの泊々として流れる大河であっても上流へ更に上流へにさかのぼれば、その流れはチョロチョロに変わり最後岩からしみでる水は滴・・・滴・・・になるはずである。

 村人の生活に一日たりとも欠かすことのできない水、そして村民に親しまれている川の源が一体どのようななっているのかは以外と知られていないのではないか・・・。そこで今回は、村内を流れる主な川の源をたずねてみることにしました。

 柳原川は本村の象徴する霊山諸塚山の中腹に源を発し途中多くの谷川を集めながら内の口〜大平〜ぎやあじを経て村を南に貫流して諸塚町で耳川に合流する。春まだ浅い三月のはじめ、このあたりは標高九〇〇m程であろうか。

 春とはいえ、V字型の谷間を降りて来る風は肌をさす。こんな中にも一早く春の訪れを告げる蕗のとうが花開き、黄イチゴは節から赤と白を混じえた芽を伸ばしつつある。堅かったヤブツバキの小さな包も親指程になっている。

 静寂の中、小さな流れの音に混じって遠くで山雀か日雀か?ツーピーツーピーの泣き声が聞こえる。折り重なった岩の間から流れ出た水は杉の木立や雑木林を縫って深い侵食を形成しながら、その流れをだんだんと大きくし美々津の河口から太平洋に旅立つ。近年川に対する意識が希薄になっているのではないか?川は、私達の暮らしや地域社会に密着し、それぞれの地域において独自の文化や国土をはぐくむ「母なる川」なのです。今一度見直してみたいものです。