吉野宮物語絵図
諸塚村に伝わる盲僧伝説「吉野宮物語」を、絵本作家の五味太郎氏にお願いし一枚の絵に表現しました。この絵を元にビデオも制作しています。
画像 拡大 場面
拡大 絵図の原画は、大きく見事なもので、諸塚村役場庁舎ホールに掲示しています。

役場に来られた方が、絵に見入っています。

拡大 吉野宮にまつわる盲僧の物語を一枚の絵にちりばめています。

それぞれの絵には、物語の様々な場面が表現され、生き生きとした登場人物が描かれています。

拡大 さあ物語の始まりです。座頭さんは、孫八という人に道案内をしてもらい何日も山道を歩き続けていました。
拡大 座頭さんの持つ黄金のまばゆさに、目ばかりか人間(ヒト)の心まで奪われた商人の登場です。
拡大 二人の盗賊は刀を抜いて、座頭さんに斬りかかります。
拡大 座頭さんの身体をなにやらまばゆい光が包み、どこからともなく、フワッフワッ・・・・・・と白い狐が現れて、座頭さんを守るかのごとく、二人の前に立ちはだかりました。
拡大 『うわー。なんだこりゃ』『物のケだ』 盗賊たちは、一歩も二歩も後ずさります。
拡大

・・・・そのとき、盗賊たちは確かに見ました。座頭さんを包んでいた白い光がその一瞬、フワッと消えたのです。『今だ』『今度こそ』

ここぞとばかりに盗賊たちは、刀を振りかざして、座頭さんに襲いかかります。

拡大 盗賊たちは、座頭さんの懐から黄金を奪い取って、霧の中へと姿を消します。

息を引き取るその際に、座頭さんは無念の思いを込めて、盗賊たちに言い残したそうです。『その金は、我が魂がこもる金なり』

拡大 盗賊たちは盗んだお金で始めた商売が大繁盛して、町一番の大金持ちになりました。

しかし、この二人の家に奇妙なことが起こり始めます。

生まれてきた子どもたちが次々に死んでしまったり、目が見えなくなってしまったのです。

『これは、あのお坊さんのたたりに違いない』

拡大 すっかり怯えた商人たちは、大きな塔を作って座頭さんの霊を供養しました。そして、村人たちは全てをうち明けました。『私は、金に目がくらみ、人の道を踏み外しました。そして、その罪がために、家族の者までも地獄に突き落としてしまいました』

そして、座頭さんが息を引き取った諸塚村南川の村人たちは、座頭さんの無念を思い、我がことのように涙を流しました。そしてその場所に、座頭さんをまつった神社をつくることにしました。哀れな座頭さんの魂を鎮め二度と同じような悲劇を繰り返さないために、祈りを捧げることにしたのです。ここで起きた悲しく罪深い出来事を決して忘れずに、語り継いでいこうと心に決めて…。

作者の紹介

五味太郎氏の略歴

 1945年、東京生まれ。桑沢デザイン研究所ID科卒業。工業デザイン、グラフィック・デザインの世界から、絵本を中心とした創作活動に入り、ユニークな作品を数多く発表、著作は約300冊に及ぶ。その独創的な作風は、子どもから大人まで幅広いファンを持ち、数十冊の絵本が海外でも翻訳出版されいている。現在は絵本創作以外にも、エッセイ、服飾デザイン、アニメーションビデオ制作など、さまざまな分野で活躍し、注目を集めている。

 主な著書としては、絵本の外に『じょうぶな頭とかしこい体になるために』『大人問題』『絵本を読んでみる』『俳句はいかが』『とりあえず絵本について』などがあり、月刊誌「自由形」を編集・制作。サンケイ児童出版文学賞、ボローニャ国際絵本原画展、東独「世界で最も美しい子どもの本」展、1987年国内造本装丁コンクール等で、多くの賞を受賞。2000年2月28日第22回山本有三記念「路傍の石文学賞」を受賞。(上記略歴は、受賞の際のパンフレットから引用)

LINK 五味太郎氏のHPへ

古を思い未来へと祈る・・・・

『吉野宮物語』

ビデオのナレーション冒頭部分を紹介します。

 山間にひっそりと佇むこの村の、そのまた深い森の奥に吉野宮という目の神様をまつる神社があります。

 「それは、昔、昔、・・・・かれこれ、もう五百年以上も前のお話・・・・」