ボランティア365(1年間ボランティア計画)
 

ボランティア便り
   6代目:和田昌子さん(平成15年4月〜平成16年3月)

 私が諸塚村に来てから7ヶ月が過ぎました。活動を終える2月まであと3ヶ月。一日一日を大切にしなければ、といつも感じながら過ごしています。

 今回、諸塚村に対して何か提言等を、と言われ、私が最初に考えたことは諸塚の最大の特産品は「思いやり」だということです。こちらに来て、私自身が多くの方々に心から親切にしていただいたというだけではなく、村民のみなさんどうしが、子どもからお年寄りまで、いつもお互いを思いやっていることに、とても胸を打たれています。「愛の反対語は無関心」というマザー・テレサの言葉を引くまでもなく、無関心が多くの社会問題を引き起こしている現代にあって、周りの人たちが幸せかどうか気にするということは、すばらしいことです。そして、みなさんのその思いやりこそが、村の活性化につながっていってほしいと願わずにはいられません。

 私と同じように全国でボランティアをしている仲間たちは、親がいない子ども、非行や不登校で学校をドロップアウトした子ども、障害のある人、寝たきりのお年よりなどさまざまな人たちのために働いており、私はこれまで何人かの仲間たちのところを訪問してきました。そのたびに一番感じることは、彼らをもっとも苦しめているのは、肉体的な苦痛や施設にいる不自由さではなく、自分のことを十分気にしてもらえない、思いやってもらえないという悲しみだということです。

 諸塚のみなさんのやさしさを、そういう子どもや障害者、お年よりの人たちに分けてあげることはできないでしょうか。大がかりな施設などなくていいのです。バリアフリーのツアー、農業体験、短いホームステイ、山村留学、グループホームなど、アイデアしだいで少しずつ始められることがあると思います。道を歩いていれば、みんなが声をかけてくれるこの村で、きっと多くの人たちが心をいやされることでしょう。

 そして、彼らとの交流によって、諸塚のみなさんも必ず多くを得るはずです。私は一年前に「ボランティア」という生き方を選んでから、人間は子どもが遊びに使うブロックのようなもので、みんなどこかが欠けていて、欠けた部分によってつながりあっていると感じるようになりました。障害のある人などに対して、はじめは抵抗があるかもしれませんが、彼らと心がつながった瞬間は、言葉では言い表せないほどの喜びをみなさんに与えてくれると思います。

諸塚村広報誌「もろつか」平成15年12月号より