T 林間放牧とはなにか? 林間放牧は、概ね10年から15年生の人工林に和牛を放牧し、林地の下草を牛に食べさせることで、粗飼料軽減・省力化が図る放牧のことをいいます。 U 育林放牧とはなにか?
育林放牧は、林間放牧と別の視点で、林業面での労力軽減を中心に考えた放牧形態のことをいいます。 しかも、自然保護の面では山林荒廃を防ぐ効果も期待されているのです。 育林放牧は、下草刈りの効果を求める為、短期間、集中的に放牧させ、林地の状態を見ながら、牛を移動させる放牧もその一つになります。 現在の調査では、約70%程の労力軽減がなされたという事例の報告もあります。
V どんな山が放牧に適しているか? 村内で林間放牧が実施されている樹種は、クヌギ・スギ・ヒノキです。しかし、ほとんどはクヌギです。その理由としては、樹皮が厚く擦りつけに強いということと、専ら用材としてではなく、椎茸の原木に使用するため、多少枝が折れても構わないということから、クヌギ林で実施されています。 しかし、牛は、クヌギの葉は食べますので、萌芽させたクヌギ林にすぐ放牧することはさけた方がよいでしょう。 クヌギ林に放牧させる場合、最下部の枝が150cm以上の高さに放牧をおこなうと牛が食べる被害が軽減されるでしょう。 スギ・ヒノキは、ほとんど食害はありませんが、幼齢樹のころに、多少の踏みつけによる被害が見受けられます。調査地での被害率は約1割程度となっています。 |
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W 環境問題は大丈夫なのか? 家畜の場合心配されるのが、糞尿による水質汚染などの環境問題です。しかし、林間放牧の場合、一般の牧場や畜舎と違って、広い林野で少数の放牧になるので、イノシシやシカなどの通常の林内動物と同様に、森の生態系に適応しやすく、糞尿は微生物等により分解されたり、また土壌への浸透ろ過によって浄化されます。 現在、万全を期して林間放牧地の水質の変化を追跡調査していますが、汚染問題は発生していません。 また、同じ林野内で一定数以上の頭数の放牧を行うと、草を食べ過ぎたり、地山が荒れたりして翌年に草が生えず、林地としても浸食が発生し山が荒れるおそれがあります。
X 1haあたりどのくらいの放牧頭数が適正か? 水質面と林地保全の面を含めて環境保全の観点から、林野の放牧地の面積と放牧頭数の適正数の遵守は、非常に重要になります。 現在までの調査研究の結果、諸塚村では放牧期間(5月上旬から10月下旬)継続して放牧を続けるられる頭数は、1haあたり1頭を基準としています。
Y 放牧できる傾斜度はどのくらいか? 放牧できる傾斜度は、約30度といわれています。35度程度まで放牧している事例もありますが、体重400kg程の牛が急傾斜を移動することを考えると、場合によっては山腹が削られる心配があります。
Z 水の確保はどうすればいいのか? 水の確保は、放牧を行うために必要不可欠です。一般的にはホースで水を引いてきますが、標高が高い緩傾斜の林地には、水源がありません。その林地を活用させるために、現在、天水(雨水)利用の調査をおこなっています。試作品が完成していますが、まだ、改良すべき点があり、今後、一般に普及できるように継続して調査を進進めます。 [ 牧柵はどんなものか?
牧柵は、環境に配慮し、ソーラー発電(太陽電池)の電柵器を使用しています。ソーラーですので当然電気がないところでも大丈夫です。 1台の電柵器で約3、000mは十分使用できます。多少、電柵に草が当たって漏電しても、大丈夫です。 また、電柵の費用は、1haあたり約16万円程度で購入でき、実際5年以上使用されています。
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