山茶の話
お茶のルーツ
 茶の原産地は、中国南西部の雲南省からベトナム北部あたりといわれています。ただ、そこはお茶の原種があっただけで、お茶を飲むという文化は、漢民族・禅宗文化と接する四川のあたりで生まれたそうです。

 日本のお茶も、中国から伝来してきたものと自生種との2種類があります。伝来種は奈良時代の遣隋使と共に渡ってきたようで、臨済宗の始祖・栄西禅師が持ち帰ったものが、日本茶の原点という説が有力です。 


山茶の歴史
 日本に自生しているものの代表として、諸塚村周辺の山間部=旧高千穂郷や椎葉山周辺の山茶が有名です。焼畑をした後や山を伐採した後には、必ず野生の茶が発生していました。つい最近まで、山仕事では、火を焚いてお湯を沸かし、山茶の枝ごと陰干ししたものを湯にいれてお茶を飲んでいたそうです。

 人家に近い山茶は、茶園として手入れされて、昔から美味しいお茶の栽培がされていました。豊後の医師・賀来飛霞も、臼杵郡内(諸塚周辺)を踏破中、諸塚内も訪問していますが、「高千穂採薬記」のなかで、「お茶は上好のもの多し」と著しています。

 日向地誌によると、昭和初期には、宮崎県全体で約39万匁のお茶の生産量がありましたが、そのうちの実に1/4=約10万匁は、諸塚村で生産されていました。シイタケと並んで、山村での貴重な換金作物だったのです。

 特に戦時中に茶園の減反によってお茶の生産が減少したときには、宮崎県北・山間部の山茶が大変珍重され、釜入り茶の主流を占めていました。

 

お茶の種類
 お茶=いわゆる緑茶にはいくつかの種類があって、@煎茶A釜炒り茶Bほうじ茶C玄米茶などがあります。

 @煎  茶:一般的なお茶のことで、蒸気で蒸し、揉みながら乾燥させます。
 A釜炒り茶:高千穂地方特有のもので、熱した釜で炒った香りの強いさわやかなお茶です。
 Bほうじ茶:煎茶や番茶を炒ることで香りを付けたお茶。香りが高く、すぐに味が出ます。
 C玄米茶:煎茶に炒った玄米を混ぜたお茶です。安価で手軽に飲めます。


お茶の栄養
 お茶の葉には、ビタミンやミネラル、カテキン(苦味、渋みのもと)、カフェインが含まれています。

 特に緑茶には、ビタミンCが豊富に含まれていて、10杯で一日の所要量が摂取できます。(ビタミンCは、ウーロン茶が緑茶の1/5以下、紅茶にはほとんど含まれていません)

 カテキンは、抗がん性や、動脈硬化や血圧抑制に効果があるといわれています。