諸塚の源流探検

小原井
Obaraigawa

源流へこんにちは(小原井川)

 小原井川は、山鳥越の山腹に流れを始め、猟師藪、小原井地区を東に流れ、伊の川内、山の川内谷の流れを集めて矢左右に至り、南東に流れを変えて宮の元で七ツ山川に合流する。源流の地は、小原井の集落よりおおよそ4.5qの地点でもう屋根ほど近いところでもちろんナンクレカヤシ(注:反対側の方言)は五ヶ瀬町になる。今、山々はもう完全なる冬ごもり、落葉の樹は総て衣を落とし寒風に枝幹をさらしている。ただそんな中にも枝先を見ると葉柄節のところには春の芽吹きの準備ができているからすばらしい。ところどころで主のいなくなったクモの巣に枯葉がひっかかり折からの微風にヒラヒラと回転しているものがある。谷浹に佇めば下流の方でサラサラとかすかな流れの音以外何の響きもない。

 何という静寝の世界であろうか。冬の日は短い午後四時を過ぎる頃、深い谷間から峰を仰げば山の端がくっきりと浮かびあがり、まるで墨絵を見るようである。これから三月始め迄が冬将軍のお出ましの季節で寒さが一段と厳しくなり、総てが息をひそめてこもる時期であるが、川の流れだけは休むことをしらない。今まで村内の大きな流れの川を十本ほど紹介してきたが、小さな谷を含め川(滝)といえるものが一体どの位在るかはとても想像に難い。膨大な宇宙の中で唯一生命を育む星奇跡地球の秘密は水があるからだという。自然は黙として語ることはないが、その教えは深く、年長者を敬い、親から子へ、心の大切さや生活の知恵を伝えていくことのできる社会、そして豊かな自然や伝統文化を大切に守り、伸ばしてゆける社会づくりなのかも知れない。是非そのようなことのできる明るい新年でありたい。