諸塚の源流探検

板井川
Itaigawa

源流へこんにちは(板井川)

 七月二十六日、猛暑。古原から板井川に沿って林道を上がると随所ネムの木が優雅な花を空に向けている。開けた草地のところには夏を代表するオニユリガ鮮やかな花を咲かせその上を早くもアキアカネが飛び交う。うす暗く感じる杉の木立にはいるとカナカナ蝉がさびしく鳴いている。さながら夏の本番というところ。板井川は浅藪の尾手の尾に源を発し途中いくつかの小川を集めて西南に流れ古原で柳原川に合流することになるが、川の口と黒葛原の入口からおおよそ500mのところに蔵の先ダムが構築され、そのほとんどは尾水流ダムからのものと一緒になって家代集落の地下を通って橘の諸塚発電所で発電に協力することになる。蔵の先ダムの下流は水量が急激に減りそのことも多少原因してか、この川の特長である緑石や赤石の目ぼしいものは心ない人によってことごとく盗まれてしまったのである。

 さて、水は生命の源であり、私達人間はもとより地球上のあらゆる生物にとって最も大切なものである。小さな昆虫から海の魚まで生きものたちは水があることによって命を維持しております。美味しい水、命を育む水を私達が毎日暮しの中で安心して水を使うためには、その水源地となる豊かな森林が必要です。先人達が文字通り汗を肥料にして育ててきたかけがえのない自然(森林)に対して畏敬の念を忘れたならば自然の破壊を招き我々が安心して生活することの出来ない時代がくるかも知れない。