諸塚の源流探検

七ツ山川
Nanatuyamagawa

源流へこんにちは(七ッ山川)

 七ッ山川は飯干赤土岸山の中腹に源を発し南東に流れ途中数多くの河川谷川の水を集め飯干、八重の平、宮の元、大白尾を流れて吐の川で耳川に合流する。四月二十五日、このあたりは標高1,000mほどに程近いようである。低地では柔らかなうす黄の新芽がだんだんと緑に変わろうとするところ、ここではまだ葉っぱが伸びきっていないものもある。とくにモミジの類は遠くから眺めるとまるで桜の花を見るようである。一帯はナラ、ブナ、アカマツなどの混成林でほとんど自然の植生に近い林層になっているが下層は一面のクマササで覆われている。このクマササをかき分け源流にたどりつく。

 ここは山の傾斜が穏やかなため流れも実におだやかである。谷に朽ちて倒れたブナについたコケが先達ってからの雨で水気を充分に受けてその緑が実に美しい。この流れは途中白土々呂滝以外は飯干までほとんど急流がない。流れはだんだんおおきくなり耳川に合流し美々津の河口にたどりつくにどれ程の時間がいるのだろうか?

 洗濯といえばその昔、鬼ヶ島の鬼退治をした桃太郎の生まれた頃から川でするものと決まっていたらしい。ズーット昔を想うにおそらく七ッ山川沿いの集落でも単に衣類を洗うだけではなく野菜鍋釜をはじめ農具、牛、馬はてはダルタンゴ(下肥桶)まで洗っていたのではないか?だから当時のアブラメは血圧が心配なほど丸々と太っていたのだろうと思うが・・・・・ただ夏の盛り何日もはき続けた地下足袋を洗ったときにはさすがのアブラメも鼻をつまんで逃げ惑うたにちがいないと住時を偲ぶ、もうあの芳香な地下足袋のにおいを体験しているアブラメはほとんどいないのではないかと思うと可哀想でもある。さて水(川)は人類や、すべての生きものの共有の財産である。かつては水にまつわる祭などの催し物がそれぞれの地域で行われ子供が身近な川や水路で水遊びをしている風景が見られるなど水を愛でる心も養われていた。最近では日常生活の中で水に対する畏敬の念がうすれ地域固有の水文化が衰退しつつあるのはなんとも残念である。