きのこ
日本人は、世界でも有数のきのこ好き民族と言われていますが、きのこについての科学的な知識はまだ乏しく、日本の山野には名前のないきのこが限りなくあります。日本産のきのこは約5,000種はあるだろうと推察され、その中で食用きのこは、約300種とみられています。
人工栽培という画期的な方法が得られて、椎茸の生産量が世界のトップクラスになった今日、他のきのこの栽培方法も次々に開発されてきていますが、きのこには人工栽培でできるものとできないものがはっきり分かれているのが現状です。
そもそも、山でのきのこの役割は、自然界にとって欠かすことのできないものです。山に積もった落ち葉や木材(枝、幹、根)を分解(腐敗、腐朽)して、無機物(二酸化炭素と水)に還元し、常に山をいきいきと行きつづけさせる…それがきのこの使命なのです。

 


世界の3大栽培きのこ
<マッシュルーム>
担子菌類・ハラタケ目・ハラタケ科のキノコ
欧米で栽培される食用キノコの一般名です。マッシュルーム栽培は18世紀、フランスの園芸家によって始められました。人工栽培が貿易で、一年中栽培され、香気はないが味がよく、西洋料理によく用いられます。

<しいたけ>
担子菌類・マツタケ目・キシメジ科のキノコ
日本で開発された食用キノコで日本、中国料理に欠かせないものです。ビタミンB1、C、Dを多く含むことから保健食品として高い評価を得ています。美味で栄養価に富む椎茸は香港、台湾、アメリカ、他十カ国の海外に輸出されています。

<フクロタケ>
担子菌類・ハラタケ目・テングタケ科のキノコ
栽培は南シナ、東南アジア、マダガスカルなどの熱帯地方で栽培されています。
主に中国料理に用いられる食用キノコです。最近、日本でもビニールハウス内で栽培されるようになりました。

 


しいたけの出来るまで
(1)原木の選定[秋11月頃]
原木は椎茸菌の栄養源であると同時に寄主であるので、椎茸菌が最も生長しやすい樹種で、最も良質の椎茸が多く発生する材質のものでなくてはなりません。
●榾木の寿命が長く最も適した原木といえるクヌギなら樹齢10〜18年もの
●良質のしいたけに恵まれるのが榾木の寿命の短いコナラなら樹齢12〜25のもの
●高冷地でもよく成長するミズナラでは樹齢15〜30年ものを伐採します。

(2)玉切り
葉枯らし(60〜90日間)完了後、急いで原木を1.0m〜1.3mの長さに玉切りします。
玉切りします。玉切りされた原木は寄せ木して乾燥や直射日光から保護します。

(3)接 種[3月頃まで]
原木がやや乾燥して、木口に´コヒビ`が3分の2程入ってきた頃をめやすに種駒接種して種木をつくります。

(4)伏せこみ[4月頃]
接種後から3月頃まで、原木に打ち込んだ種駒が添着するまで仮伏せし、その後、本伏せに入ります。(4月以降)

(5)榾起こし
二夏過ぎて明るい林の中へ、合掌方に広げます。

(6)採 取
生椎茸としてそのまま出荷されるものと、乾椎茸用とに大別されます。

(7)乾 燥
火力乾燥された椎茸は天日より香りが高く、型くずれしません。そのため、商品性の高いきのことして、取引されています。火力としては、重油、灯油が一般的に使われます。

(8)商品化
椎茸は最新の設備を誇る農協や経済連の低温倉庫のある集出荷場に集められ、商品化されます。自動的に選別―計量―包装して商品となり、出荷されます。

(9)販 売
椎茸は貿易商社や市場を通して、海外や国内の消費者に届けられます。

<榾 木>
原木は椎茸菌の栄養源であると同時に寄主でもあります。椎茸菌の生長に最も適した樹種は、落葉喬木のクヌギ、コナラ、ミズナラ、シデ、ノグルミ、シイなどです。原木の伐採は、樹液の流動が停止し、材内養分が最も多い晩秋から冬にかけてが適期です。接種した種駒内の椎茸菌が原木へ活着するには、水分が40%以上必要ですから、原木が乾燥しないように保存することが大切です。良い榾木をつくるためには、伏込み場所の選定が重要となり、東南向きで日当たりがよく排水の良いところ、通風がよくて、雨当たりのよい場所が望まれます。

<種駒打ち>
ミズナラ材やブナ材などの小形な木片に椎茸菌を繁殖させたものが種駒(種菌)です。
種駒にはいろいろな形状がありますが、いままで最も多くかつ最も早くから使用された種駒は「クサビ型種駒」と「棒型種駒」の二種類です。手ノミ打ちの時代はその作業性に優れたクサビ型が多く普及していましたが、現在ではドリル打ちが主体になったため、ドリル打ちに適した「丸クサビ型種駒」が急速に普及してきました。

<榾 場>
榾場は、完熟した榾木から椎茸を発生させ育てる場所です。椎茸は榾木の樹皮を破って外部へ突き出し生長します。ですから、強い風に当たると乾燥して生長できなくなります。風当たりの少ない、雨透りのよい林間を選ぶことが大切です。榾木の立て方は、なるべく榾木に光線が当たる様にし、採取には作業性を考え、平地では地上1mぐらいに牛木を作り、これに両側から合掌型に立て掛けます。

<採 取>
春秋の頃には、きのこが出かけてから1〜2週間で正常な形に生長します。ふつう、生椎茸として市場に出荷する場合は6〜9分開きで採取します。乾燥は天日よりも火力乾燥の方が品質がよく、そのために乾燥室や乾燥装置が設置されるようになりました。


<6分開きどんこ>
●こうしん、バレ葉
高温の雨で急に開傘した場合した場合
●つぶし
日和子のまま長日数かかって順
●こうしん、セロ物
短日数で順調に開傘した場合
●中肉こうしん
短日数で順調に開傘した場合